『複合汚染』有吉佐和子

『複合汚染』有吉佐和子

こちらの本は、1974年10月14日から1975年6月30日まで朝日新聞に連載され、1975年4月に新潮社から発行された古い本です。

たくさんの毒性物質により、もたらされる複合汚染。

複合汚染が与える環境や、生命への影響について訴えています。

古い本のため、現在では使用が禁止されている物質などもありますが、平気で使われていた時代があり、今現在も身の回りには化学物質で溢れているため、とても考えさせられます。

無農薬、自然農法、無添加などそういったものに興味がある方には、おすすめの本です。 

 

以下、私が驚いたことや、覚えておきたいことなどをズラズラっと書いています。

 

・本物の玉露はぬるいお湯をかけて、一回注いで、それから後2回は完全に同じあと匂いが出る。

今のお茶は一回しか出ず、硫安という化学肥料を使った土のせい。

硫安はミミズが即死してしまう。

ミミズは、農土を豊かにするために決定的に重要。

ミミズは毎日、土を食べて生きていて、土はミミズの口から入って外へ出るとまた土になるが、ミミズの口へ入る前と出た土では土の性質が異なる。

新鮮な草の葉や、腐って形の崩れたワラなどがミミズの体内の分泌液によって豊かな黒い土になって出てくる。

出てきた土は細かい団粒状であ流ため、空気が通りやすくふわふわと柔らかい。

堆肥を施した土の中ではミミズが繁殖し、モリモリと土を食べ、動き回り、土の中の有機物が混合され、豊かになる。

 

・昔のお米は、籾をつけてお怪我、10年でも20年でも保存ができたそう。

    

・本物の柴漬けとは、赤くなく、ペチャっと押し潰れ、歯応えもない。

塩は防腐剤で、保存料であるが、塩で押すと水がでて、重さが減る。

重さで売る商品であるため、軽いと損してしまうため、漬物屋は水を入れてふやかすが、そうすると腐りやすくなる。

そこに防腐剤を入れると味が落ちるため、化学調味料を入れている。

 

・草はよっぽど背の高い草や、根の強い草の他は、野菜の邪魔はしない。

 

・山の木が全滅しないのは、落葉が土中のバクテリアの作用で完全腐食するまでは土の中に入れず、堆肥が完熟してから土の中に入れる。

 

・PCBの使用量は、1970年での単位面積比でアメリカの10倍であり、日本人はアメリカ人と違い魚を食べる民族であるため、深刻な問題である。

PCB研究に関わりを持っている学者や、厚生省関係者にした質問と専門家たちのほぼ一致した返事。

①あなたは魚を食べているか。→私は魚を食べている。

②妻が妊娠した場合、子どもを産ませるか。→妻が妊娠したら産ませる。

③妊婦にも魚を食べさせるか。→妊婦に魚を食べさせるが、量は少しひかえる。しかし内臓だけは食べさせない。

④幼児にも魚を食べさせるか。→子供に魚を食べさせるが、内臓は食べさせない。

⑤赤ちゃんにも母乳を与えるか、粉乳を与えるか。→子どもには母乳を与える。

 

・ブロイラーと呼ばれる食肉用の鶏が工業化されている。

身動きできず、食べて寝ているため、肥える。

そのため、食卓には歯応えのない、無味無臭の鶏肉が大量に送り届けられる。

こういう鶏では「水たき」などには無数、フライドチキンのように濃厚に味付けして油で揚げるのでなければ満足しなくなっている。

 

・美味しい牛肉や鶏肉を作るために、女性ホルモンの合成品を入れると効果があるそうで、配合飼料の中に成長促進剤として抗生物質と同じように混ぜ込まれている。

普通の雄牛より脂ののった柔らかいお肉がとれるが、1960年、ニューヨークの有名レストランのコックの乳房が膨らみ、女性的特徴を持ち始めた。

また、飼料の中に女性ホルモンを入れていた鶏の廃棄物を毛皮コート用のミンクに餌として与えていたところ、一時的に不妊になった。

また人間に奇形児の出産が増えた。

 

・ガソリンは石炭と同じで、全元素が入っている。

自動車は一台でたくさんの化合物を作り、排出しているため、人間には数百種の毒性物質が体内に入っている。

 

・自然気胸という肺に穴が空き、肺が潰れてしまう疾患は、痩せ型で高身長の男性がなりやすいとされていて、体質が原因とされているが、大気汚染が誘因となっているという専門家もいる。

さいごに

たくさん書きましたが、ここ数年気になり興味を持っていることだったので濃い1冊でした。

今は使用されなくなったものや、使用基準が設けられているなどと、古い内容で、当てはまらないものもありますが、かつてそういったことがあったのだと知ることもでき、とても勉強になりました。

私の曽祖母が、昔の鶏肉はおいしかったと言っていたということが繋がりました。

また、私自身、食べて味が濃く、美味しいと思ったお肉などはきっとのびのびと育った環境だったのだろうなと思いました。

海外に長く在住していた知人は、最近帰国し、日本の添加物や、農薬の多さに驚いたそうです。

「変な味がすると言うと友達に嫌がられちゃうけど、わかっちゃう。」と言ってました。

味覚も慣れてしまっていて気付かないのは恐しいです。

添加物、農薬怖いと思っても、身の回りから全てを排除するのは中々難しいですが、今まで以上に、体のことを考え気をつけようと意識が高まりました。



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