『複眼人』呉明益

『複眼人』呉明益

人口を増やさないために、次男が生きられない掟があるワヨワヨ島に住んでいた少年アトレ。

ウルシュラという少女のことを愛していましたが、アトレは掟どおり、戻ることのない航海に出発し、ゴミでできた島に打ち上げられます。

魚を取ったり、ゴミの袋に貯まった水を飲み、なんとか生き延びながら、ゴミの島とともに漂流していきます。

海辺の家に暮らす、大学教師のアリス。

彼女は、夫と、息子を失い、自殺をしようと考えていました。

そしてある日、地震が起こりゴミの島はアリスの家の側の海岸に押し寄せてきます。

 

山でアリスは、アトレと出会います。

狩猟小屋にアトレをかくまい、一緒に暮らし始めます。

死を覚悟して海に出たアトレと、自ら死を選んでいたアリス。

言葉は通じないけれど、心を通わせていきます。

 

海と山の大自然を舞台に環境問題や、動物愛護、台湾の原住民族のことなどの要素が盛り込まれ、しとしと降り続く雨のような、独特のもの哀しさが漂う空気感や、ワヨワヨ島のファンタジー感に惹きつけられたり、登場人物達がどういう風に繋がっていくのだろうと気になり、引き込まれていくストーリーです。

 

アリスの夫の遺体は山で見つかりますが、息子の遺体は見つからないままだったり、アトレはまた、死の海の旅へ出ていってしまったり、登場人物達の死が多く、海岸のゴミの島もそのままの状態であり、後味がスッキリしないのですが、様々な問題に向き合う必要があるのだなと感じさせられました。



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