『永い言い訳』西川美和
主人公は人気作家の衣笠幸夫。
愛人と過ごしている時に、妻が旅先で事故に会い、妻の親友と一緒に亡くなります。
夫婦関係は長年冷めており、妻が亡くなっても涙が出ませんでした。
2人の間に子どもはいないのですが、妻の親友には夫と、2人の子どもがいました。
母親を失った子どもたち2人のお世話を、父親不在時、代わりにお世話することを自ら申し出ます。
子どもたちと関わっていくなかで、家族というものの素晴らしさに初めて気がつきます。
自分にとって亡くなった妻は、今どういう存在にあるのか正直な気持ちを手紙に書きます。
子ども達のお世話をしているシーンも良かったのですが、特に印象的だったのはラストに書かれたその手紙の一部で
『あのひとがいるから、くじけるわけにはいかんのだ。と思える「あのひと」が、誰にとっても必要だ。生きていくために想うことのできる存在が。つくづく思うよ。他者の無いところに人生なんて存在しないんだって。人生は、他者だ。ぼくにとって死んだ君が今の今になって、「あのひと」になりつつあるような気もするよ。遅いかあー。』
私も、「あのひと」を大切に想う気持ちを忘れずにいたいと思いました。
そして、「あのひと」にとっての「あのひと」でありたいと強く思いました。
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