『チョコレートコスモス』恩田陸

『チョコレートコスモス』恩田陸

 

容姿にも恵まれ、幼い頃から活躍している女優の響子は、生まれながらに選ばされていた職業について自問自答していた。

伝説のプロデューサー芹沢泰次郎の芝居に出られたら、そこが居場所だと覚悟できるかもしれないと考える。

 

大学生の巽。学生演劇サークルでは、最大級の演劇研究会から独立した、男性10人での劇団に所属している。

元々は脚本家志望であったが、役者の経験があったほうがいいだろうと思い、役者をやってきた。

公園で稽古をしていた時に、少女がじっと見ているのに気付く。

そして、入団したいと声をかけてきたところを、メンバーが入団テストを与えることとなる。

そこで、芝居の経験は初めてだというのだが、とんでもないものを見せられることとなり、入団することになる。 

その少女の名は佐々木飛鳥。

たくさんの映画や、舞台を見てきた。

高校の時の友人が演劇部で、誘われていたが、断っていた。

舞台の暗がりの向こうに何があるのかを知りたい、知るためには演じてみるしかないと思い至り、入団を希望した。

入団直後に突然の旗揚げ公演が決定し、巽の脚本で舞台に立つこととなるのだが、そこでも飛鳥は驚きの演技を見せることとなり物語は展開していく。

伝説のプロデューサーによるオーディションのストーリーで、突きつけられる難題に天才女優の響子と飛鳥が挑む姿が熱く描かれている。

 

分厚いが、オーディションの課題にどう飛鳥は立ち向かうのかが気になり、一気に読んでしまった。

お芝居も見てみたくなるし、オーディションを見学してみたいと思った。

 

蜂蜜と遠雷が好きな人にはオススメの作品である。

 

そして文庫本の後書きによると、続編となる「ダンデライオン」という作品があるようだが、未完のためか、未だ刊行されていない。

ぜひ読んでみたい。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です