『i』 西加奈子

前々からオススメの本などを紹介していきたいと思い全然できていなかったのですが、今回は一昨日、読み終わった本をご紹介します。

『i』 西加奈子

シリアで生まれ、養子としてアメリカ人の父と日本人の母に迎えられた主人公のアイ。

高校へ入学した翌日、数学の教師が「この世界にアイは存在しません」

と言い放ち、その言葉に衝撃を受けたアイの心に、この言葉は度々出てきます。 

 

裕福な家庭で何不自由なく愛情をしっかり注いでもらい、育ててもらいますが、アイは幼い頃からなぜ他の子ではなく自分がこの状況に選ばれたのか?

「選ばれた自分がいるということは、選ばれなかった誰かがいる」

世界では毎日、たくさんの人が紛争や事故で亡くなっているのになぜ自分は生きているのかと考えます。

自分の環境が幸せだということがわかっているけれど、それ以上に申し訳ないと思ってしまい、自分のこと肯定できずに苦しみます。

 

両親や親友のミナ、パートナーのユウとの関わりの中で、自分の存在価値について深く考えていくストーリーです。

後半のミナからアイへの長文メールやラストのシーンがとても素晴らしく好きでした。




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