『暗闇にレンズ』高山羽根子
物語はSideAとSideBに別れて進んでいきます。
SideAでは高校生の「わたし」は親友の「彼女」と監視カメラだらけの街を歩き、携帯端末の小さなレンズで自分たちの周囲の世界を切り取り、動画を配信している現在。
SideBでは1898年、横浜で娼館を営む一家の娘「照」は映像の技術を学ぶため、留学していた過去の話。
何代にも渡りレンズを覗き映像制作に関わった、複雑に構成されている一族のストーリーが徐々にSideAに近づいていきます。
まるで歴史小説かと思う程にそんな事があったんだ!と色々と気になり、検索かけたりしてみたのですが、ヒットしなかったので、事実ではなさそうでした。
それらを信じてしまうように描かれているので、面白かったです。
今の時代、防犯カメラや、スマートフォン、パソコンなどたくさんのレンズと共に暮らしています。
また、誰でも簡単に映像を録り、編集して動画を作成し、配信する事ができます。
映像というものは意識にすりこんだり、人を傷つけたりと武器になりえるため、誰もが武器を持ててしまうのだなと思うと怖い世の中なのかもしれません。
ですが、撮ることや映像を簡単に見られるというのは、学ぶ事もあったり、楽しいこともあったりと、たくさん素晴らしい事があるので、使い方が大切なのだと改めて思いました。
また、現実に起った恐ろしいことや悲しいような様々な出来事が、映画であって欲しいという祈りに似た想いを抱き、レンズを覗いて生きているのではないか?「レンズを覗くのは祈りのため」
といった考えを新しく知りました。
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