『マンゴー・レイン』馳星周
タイのバンコクで生まれ育った日本人の、十河将人。バンコクの喫茶店で、幼馴染の富生と再会します。
富生から高額な報酬で、中国人の女性をシンガポールに連れ出し、女性が持っている仏像を受け取って欲しいという依頼を受けます。
女買いをしているマサにとっては簡単な仕事のはずでしたが、その女性、メイと接触した途端、何者かの襲撃を受けます。
仏像に大きな秘密が隠されていて、それを狙っている人が、バンコクで名の知れた人たちであることを知り、マサとメイは張り巡らされた罠から逃げ回る裏社会のストーリーです。
誰もが振り返るほど美人で強気な性格のメイは、これまで娼婦として働かされ、エイズを患っています。
悲惨な人生には気持ちが苦しくなりますが、マサ曰くそんな女性はいっぱいいるよう。
こちらの小説は2002年に発売されており、やや古いので、現在の状況とは違うかも知れませんが、今現在も、貧富の差や地域格差があるため、そういう苦しい思いをしなければいけない女性は多いのかな?などと考えさせられます。
マサは、ひどいどうしようもない人間なんだなと正直思ってしまいますが、メイと協力していく中で、何かが変わろうとしているのかな?と期待もしてしまいます。
全体的にスリリングでスピーディーな展開なので、長編ですが続きが気になり、一気に読みました。
映画になっても面白そうな内容ではないでしょうか。
おわりに
こちらの小説は、バンコクが舞台という理由で選んだのですが、他のバンコクが舞台となっている読んだことのある小説をご紹介します。
・『サヨナライツカ』 辻仁成
・『愉楽の園』 宮本輝
・『暁の寺』 三島由紀夫
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