『サヨナライツカ』辻仁成

航空会社のバンコク支店で働く、東垣内豊。あだ名は好青年で、婚約者の光子が日本にいます。バンコクで豊が1人で暮らしているという時点で心配な気持ちはとても大きいはずの光子ですが豊を信じ、結婚して側で妻として豊かの力になる日を待ちわびています。

婚約を仲間達に報告する会で謎の美女、沓子に出会います。

沓子はバンコクの高級ホテル、マンダリンオリエンタルのスウィートルームに1人で暮らしています。

光子がバンコクに来るまでの関係で、簡単に終わらせられると思っていた豊ですが、どんどん沓子に惹かれていき、激しく燃える日々を送ります。

そしてとうとう光子がバンコクへやってくる日に沓子と別れるのですが、25年の時を経て思い出の詰まったホテルで沓子と再会してしまいます。

 

バンコクの醸し出す雰囲気が存分に楽しめ面白かったです。

あ〜バンコク行きたい。そしてこの小説では2人の象徴ともいえるスイートルームを見てみたいという想いになりました。

 

 

   

 

以下ネタバレを含む感想になります。 

 

 

 

 

 

まずはじめに光子の立場を考えると辛くてたまらないです。

結婚当初からの25年間、ずっと違うヒトを思っている人と一緒に過ごしていたんだなと思うと本当苦しい気持ちに。

けど実際にはそういう人は多いのかな?

1番好きな人とは一緒になれないものってよく聞くし。。。

夫も実は違うヒトを想っていたりするのかな?と考えずにはいられません。  

 

沓子はきっかけを作ってしまっているので引っ掻き回した女性といった印象に。

なので自業自得なのではと思ってしまいます。

だけどきちんと婚約者が来る前に身を引き、その後もひとりで豊のことを思い続け過ごしていたのだとわかると、それはそれですごい事で、一体どんな25年を過ごしていたんだろうと気になります。

亡くなる前に「愛している」と言われたことで、今までの人生が全てむくわれているといいなと思います。

豊はとにかくずるい。

本当に女性目線だからか余計にそう思います。

婚約者がいながら、バンコクという所で甘い甘い蜜のような時間を過ごし、自分の出世などを考え沓子と別れ光子と結婚し、心ではずっと沓子のことを思っていたなんて本当にずるいなと・・・。

 

 

文中に何度もでてくる言葉。

人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと

愛したことを思い出すヒトにわかれる

私はきっと愛したことを思い出す 

私も愛したことを思い出すだろうなと思いました。

きっとそれってとても幸せな事なんだろうなと思います。

辛く悲しく、イライラした感情も沸き起こり、心がしんどいですが、なんだか心に残るストーリーでした。 

 

さいごに

こちらの小説は、バンコクが舞台という理由で選んだのですが、他のバンコクが舞台となっている読んだことのある小説をご紹介します。

・『愉楽の園』 宮本輝

 

・『マンゴーレイン』 馳星周

・『暁の寺』 三島由紀夫



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