『スーツケースの半分は』近藤史恵

『スーツケースの半分は』近藤史恵

いつかニューヨーク旅行へ行きたいと思っていた真美。

夫とは休みが合わずなかなか行けずに過ごしていたが、30歳を目前にし、休みを合わせて一緒に行こうと再び夫を誘ってみるも老後でいいだろうと跳ね返されてしまう。

そんな時、友人といったフリーマーケットで、美しい青色の皮でできたスーツケースに一目惚れして購入する。

そして憧れのニューヨークに海外へ行ったことのない真美であったが、一人旅することを決意する。

旅慣れしている友人たちからは、「スーツケースの半分は空で行って、向こうでお土産買って詰めて帰っておいでよ」「生きて帰ってきたら成功」などとアドバイスをもらう。

出発直前、スーツケースの内側のポケットからメモを見つける。

「あなたの旅に、幸多かれ」

見事、ニューヨークでやりたかったことをやり、無事に帰国した真美。

そのスーツケースは、友人たちに手渡され、世界をめぐるうちに「幸運のスーツケース」と呼ばれるようになる。

 

真美の友人達の旅スタイルはバラバラですが、青色のスーツケースとともに主人公が変わりながら世界を回っていきます。

主人公となるのは

第2話

毎年、香港で高級ホテルに泊まり、大切にもてなされることを楽しみにしている花恵。

 

第3話

旅先での移動手段は公共交通機関を使い、安宿のドミトリーに滞在し、その土地で買った物を身につけるのがルールとしているゆり香。新しくできた恋人とのアブダビ旅行では、博物館に置いてきぼりにされるという嫌がらせをうける。

 

第4話

パリへパン屋さんの取材に出かける悠子。けど実際は仕事があまりなく、今回、パリの友人宅に泊めてもらえなかったため、滞在費を支払うと赤字になる覚悟で挑んでいる。

 

第5話

パリに語学留学している旅行ではなく、滞在している栞。バリが好きで暮らしたいが仕事をするのは難しく、彼氏と結婚について考えている。

 

第6話

留学したい娘を持つ母親であり、フリマで、真美にスーツケースを売った優美

第7話

ドイツに青いスーツケースと共に留学へやってきた優美の娘の春奈。

 

第8話

ゆり香の視点で悠子、英恵との3人での国内旅行のことが描かれている。

真美は体調不良で来られなかったのだが、3人はスーツケースが売られているお店を発見し、作り手に幸運のスーツケースと呼ばれていることを伝える。

 

第9話

元の青いスーツケースの持ち主である加奈子のお手伝いのアルバイトをしていた和司。

加奈子が入院する前にスーツケースをプレゼントした。

 

 

ゆり香がムスリム女性に「うれしくなったの。あなたは旅行者だけど、長袖の服を着て、身体の線を出さず、そうやってスカーフで髪を隠している。わたしたちの文化を尊重してくれている。」と言われたことや

悠子が、少ない滞在日数で、パンをたくさん食べなければいけないため、エコバッグの中にジップロックやワックスペーパーなどを入れ、半分食べて残ったものはホテルへ持ち帰り、味を確認しながら原稿を書いているという方法。

覚えておくと、いつか使えそうだ。

 

そして私はどのタイプの旅行の仕方だろうかと考えてみる。

割と公共交通機関を使って旅したいタイプだ。

Wi-Fiもなしに読めない地図で奮闘することが多かった。

けれど行き先や、行く日数、一緒に行く人によって変わるかな〜。

下着やソックスなど必要最低限で、洗濯したり、捨てて帰ってきたりするけど、服や水着、帽子、サングラスは無駄に多く持っていくタイプ。

 

それと、この話を読んでいて、私の持っているスーツケースも一目惚れで選んだ記憶が蘇る。

見た目はオレンジっぽいゴールドなのだが、限定カラーで、「サンセットゴールド」というカラーネーム。

フィジーのサンセットをイメージしているカラーでそのコンセプトに強く惹かれたのだ。

 

このスーツケースを連れて色んな所へ行った。

弟に貸して、私が行ったことのない所に連れて行ってくれた事があったりもした。

ハプニングもあった。

アメリカの空港で、壊されてしまい、スーツケースが閉まらなくなったのだ。

テープでぐるぐる巻きにして、飛行機に乗ってホテルでテープ剥がして、ホテルでテープ借りてまたぐるぐる巻き。

旅の序盤で、何度か飛行機に乗る旅だったので空港のラップクルクルにあの時ほど憧れたことはない。

中々のお値段がするから私は借りたテープでぐるぐる巻きにした。心配だから何重にも巻いた。

帰国してすぐに修理に出して、それからも何度も使っている。

私にとっては行きたかった所へ行くという夢を叶えてくれるスーツケースだ。

まだまだ行ってみたい所がたくさんある。

これからも私の夢を共に叶えてもらいたい。

しばらく使っていない私のスーツケースだが、これからも大切に使い、前に進んでいきたいと思うそんなストーリーだった。



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