アラスカに魅せられ移住し、写真家として活躍された星野道夫さん。
壮大な自然や動物、人々の暮らしを取材し、写真集を出したり、写真家さんですが文字だけのエッセイを多く出していました。
今回は1994年に出版されたエッセイ集『旅をする木』を読んでみみました。
『旅をする木』星野道夫
アラスカという極北での自然が丁寧に表現されているので、写真はなくてもその様子が目に浮かび、読み始めてすぐ、ワクワクしました。
また、動物もたくさん登場するので、どんな動物なのかなと調べながら読むのも面白かったです。
特に印象に残っているのはカリブー(北アメリカに生息するトナカイ)についてのことです。
カリブーは北極圏を移動して過ごしているので、カリブーの旅を記録することは星野さんにとってアラスカでの大きなテーマであったそうです。
一部抜粋
「本当の意味での野生、原始自然というものをぼくは見たかった。かつてアメリア平原を埋めつくしていたとういうバッファローの姿はもうない。人間がただ立ち尽くす、太古の気配を持つ風景は、すべて伝説となった。あたりまえのことである。今はもう近代さえ遠くさり、二十一世紀というSFのような時代を迎えようとしているのだから・・・が、信じられないことに、それは遥かな極北の世界にまだひとつ残されていた。白いベールに包まれ、北極圏の原野を今もさまようカリブーの大群である。」
この風景を想像してみるだけでドキドキし、時代をも超えた、遥か昔の地球の姿にとても興味が湧きました。
また、ブッシュパイロット(小型飛行機で滑走路もない氷河の上に着陸したりする、高度な技術を持ったおパイロット)のドンと、飛行機のプロペラが壊れ、新しいプロペラを待っている時に数千頭のカリブーの群れに遭遇したシーンもとても素晴らしかったです。
プロペラの故障は、ドンにとって経済的負担になるであろう状況なのに「ギフトだな。」と言っていたそうです。
自然現象などはまさに贈り物はなんだろうなと思いました。
大変な状況にも関わらずギフトだと思える、思わせる、自然の凄さと、ドンの心の大きさに感動しました。
また、毎年、三月にはオーロラ撮影のためルース氷河行っていたそうなのですが、そこは宇宙と対話ができる不思議な空間だそう。
氷河の上で過ごす夜の静けさ、風の冷たさ、星の輝き・・・
行ってみたいと思わずにはいられません。
また、星野さんのアラスカとの出会いもおもしろかったです。
読んでいくうちにどんどんとアラスカという地に魅せられてしまいました。
「アラスカ、いつか私も行ってみよう!」
と新たな夢ができ、ドキドキワクワクさせられる本でした。
星野さんの撮影した写真も見てみたいな。
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