『繋がり過ぎた世界の先に』マルクス・ガブリエル

『繋がり過ぎた世界の先に』マルクス・ガブリエル

世界で最も注目されるドイツの哲学者マルクス・ガブリエル。

「COVID-19の蔓延により、おそらく人類史上初めて、世界中の人間の行動の完全な同期がみられた」といいます。

この本では、つながりにまつわる3つの問題、「人とウィルスのつながり」「国と国のつながり」「個人間のつながり」についての見通し示し、倫理資本主義の未来を考えた、新しい時代のビジョンについて書かれています。

 

私の思考には追いつかない部分も多くありましたが、印象に残っている部分を以下に書いています。

 

「人とウイルスのつながり」

現在、科学者やウイルス学の専門家のCOVID-19に関する見解が各国の政治的決断に大きく影響しているということは極めて危険な傾向で、ウイルス学者が政治家になってしまったと述べています。

疾病学者の統計モデルはひどいとも思っているようで、よくないと思っているコンピューターモデルが地球全体の経済や人間の行動を決定しているのです。

統計上重視すべきデータは、死者数、I CUで特に重要なのは、死者数であり、集団免疫が唯一の戦略となるため非常に重要であること。

コロナの危機は統計的世界観による幻想であるとも考え、GDPの成長率など関係なく、街が綺麗か、自由な社会か、食べ物の質、空気の質と言ったことが重要であり、問題は質であって数字ではない。

質的・倫理的経験や感情に焦点を当て、ウイルスに対する見方を変えようとしているのだそうです。

 

「国と国とのつながり」

人種問題の本質は多くの人に浸透している先入観などのステレオタイプ思考によるもの述べており、確かに思いこみによるものは大きそうだなと思い、便利なこともありますが、間違っていることもあるので注意が必要だと改めて思いました。

そして次に、今の状況だと、日本は軍隊を持つ「普通の国」になるべきだとも述べています。

2019年、トランプは日米安全保障条約について「もし日本が攻撃されたら、アメリカはあらゆる犠牲を払って戦う。しかしアメリカが攻撃されても日本は助ける必要はない」と発言しました。

アメリカの背後に隠れていては、戦後、いつかアメリカが守ってくれなくなる日が来ることはわかっているので、アメリカの良いところをたくさん取り入れている日本は、独り立ちする時期なのだそうですが、これに関してはとても難しい問題だなと思いました。

フランスに突如世界トップクラスの大学が出現したカラクリも面白かったです。

 

「他者とのつながり」

アメリカのソーシャルメディアは自由民主主義を弱体化させており、破滅をもたらす主因だと考えいるようです。

SNSは本人が望まない自己を押し付けているという考えもなるほどなと思いました。

日本のコミュニケーションや、ドイツ、ニューヨークのコミュニケーションの取り方の違いについても述べられていて、日本は先進国の中では最も社会的に孤立しているそう。

東京の住環境と人口の多さが原因のひとつにります。

ドイツはオクトーバーフェストなどに象徴されるように一緒にビールを飲むことを軸にした社会だそうで、ドイツの方が早く集団免疫を達成するかもしれないとのことです。

 

「新たな経済活動のつながり」

21世紀は倫理資本主義の時代であると考えているようです。

世界で最初に持続可能でかつ倫理的な,資本主義体制を作った国が最も豊かなスーパーパワーになるだろうと。

倫理資本主義がさらに進化してどの企業にも哲学課ができると、哲学がビジネスにとって良いものになり、倫理資本主義の実現が可能になると考えているのです。

  

人類という存在はある意味では進歩したと思うが、退歩した面もあり、自然科学やテクノロジーの発展から倫理を切り離したことは最も退歩した点だという考えているそうです。

この退歩により、原爆や、気候変動危機などの問題を生み出しました。

パンデミック対策のためにロックダウンをしても世界の二酸化炭素排出量は8.8%しか減少せず、それは、サーバーのせいであり、ソーシャルメディアは環境に優しくないとのことで、ライフスタイルそのものを変える必要があると述べています。

 

「個人の生のあり方」

「考える」とはどういうことか。考えるというのは、考えを掴むということ。

考えは正しいかもしれないし、正しくないかもしれない物事を把握するのが考えること。

従って、考えは正しいこともあり、正しくないこともある。

 

真実と虚構の違いは、思考があるところにしか存在せず、考えるというのは、考えを掴むこと。

思考は視覚同様、聴覚、嗅覚、視覚の感覚の一種だと考えているそうです。

人間の思考の弱点は、物事を把握する力が、思考に関する誤った概念に脅かされているということ。

すべての間違った考えは、正しい要素を、含んでいますが、正しい考え無くして、間違った考えは存在しない。

完全に間違った考えは、考えではない。と述べています。

また、生きていることを実感するときについても書かれており、それには美的な体験が重要だそう。

楽しいと感じたり、心を動かされたり、良い会話、良い食事など快楽的経験があるから生きていけると。

芸術に触れることは、確実に人類の進歩に重要な役割を果たすのだそうです。

 



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