『星に仄めかされて』多和田葉子

カバーをはずすとピンクで可愛かったのでトップの写真をピンクにしましたが、カバーはこんな感じです。

地球に散りばめられて』の続編となります。

 

hirukoと同じ母国語を話すはずのsusanoo。

失語症ではないかと考えられるため、失語症について研究しているクヌートの先輩がいる病院を訪れます。

コペンハーゲンにあるその病院までみんながそれぞれ、様々な方法でお見舞いへ向かいます。

そして絶対に続編が出るというようなワクワクを残して終わります。

章ごとに主観となる人物が変わっていくので、飽きなくスラスラ読めました。

そしてこの方の本は言葉が面白いのです。

以下はネタバレを含む感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノラはコペンハーゲンまでナヌークと飛行機で一緒に行くために、チケットを取っていたのですが、ヒッチハイクで行きたいと1人で出かけて行き、断られてしまいます。

車だとたくさんガソリンを使い、二酸化炭素を排出するため、ナヌークは間違っていたと考えたいところですが、、一緒にヒッチハイクしていたら、飛行機の場合より少ないなどと考えたりします。

色んな感情が沸き起こる中で、この環境を含めた考え方はこの時代にとても大切なことだなと思いました。

アカッシュは、空港がストライキで飛行機に乗れなくなり、違う手段で行こうとする場面で、「心配いらないよ。まっすぐに進もうとすると障害物にぶつかる。だから右斜め前に進んでそれから左斜め前に進む。」「直進するのは落ちていく星くらさいだろう。僕たちは落ちていくわけじゃないのだから、ためらわずに蛇行しようよ。」と言うのですが、私自身が予想外のことが起こると焦ってしまい、上手く行動できないので、この考え方いいなと思いました。

また、アカッシュがバイクの後ろで「風は意外に冷たくないね」というセリフは、状況によっては色んな意味に変わるということを考えていたシーンも、私にはなるほど!と思い新鮮で面白かったです。

hirukoが「朝という漢字には月という字が入っている。朝なのに月。変だと思わなかった?」

「朝日が昇ってもまだ月が空に残っていることがある。紙でできたみたいな白い月。」

「朝が始まっても夜はまだ終わっていない。昼間と夜が重なっている二重の時間が朝。だから月が残っている。朝はくらい。明るいのに暗い。あなたは月なの?」と話しているシーン、ちょうど前日の朝に白い半月を見ていたので印象的でした。

きっと続編が出ると思うので続きが今から楽しみです。



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