『生命海流 GALAPAGOS』福岡伸一
ガラパゴスにいつか行ってみたいと少年の頃から夢見ていた生物学者の福岡ハカセ。
ただ、普通に観光として行くのではなく、200年近く前に、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンが乗っていたビーグル号と同じ経路をたどり、島を見たいと思っていた。
長年の夢が叶い、いざガラパゴス諸島へ。
本書は旅のリアルな様子と生命に対する思索が行き来する航海記となっている。
この島に生息する奇妙な生物たちはどこから来たのか?なぜこのような特殊な進化を遂げたのか?
ガラパゴスを発見したのは誰か?
ダーウィンがまず見たものはピュシスだったに違いない。
それがロゴス化された結果が進化論。
ダーウィンの見たピュシスを確かめ、そこから彼の思索がたどったようなロゴスが必然的に導かれるのか、跡を辿ってみたい。
生態学者の今西錦司さんが、ガラパゴスを見たとしたら何を考えただろう?
これらの謎に少しでも近づきたいという思いを抱いていた。
ガラパゴスの生物たちは人間を恐れず、むしろ興味を抱いていてた。
ガラパゴスの生物には「余裕」があり「遊び」を知っているからではないか。
ガラパゴスという環境下のため、生物たちは互いに競合することがほとんどない。
それぞれの生物は自分の生存に自由度と余裕を享受している。
生命は本質的には自由。
生命は自発的に利他的なのだ。
生命体は、同じ起源を持つ他の生命体といつも何らかの相互作用を求めている。
互いに益を及ぼしたがっているし、相補的な共存を目指している。
ガラパゴスで体験した、ガラパゴスヒタキモドキがレンズフードを覗きにきたり、ガラパゴスアシカがフィンに甘嚙みしてきたなどの行動は、全て主体的な余裕に基づく行動。
そこには生存や生殖のための目的ではなく、ただ好奇心や興味や遊びがあるだけだと感じた。
ガラパゴスはあらゆる意味で進化の最前線であり、本来の生命の振る舞いを見せてくれる劇場でもある。
といった福岡ハカセの言葉が印象的で、生命は自由で、自発的に利他的、、、なるほどな、と思った。
生命という漠然とした大きなテーマ、そこに私も少し触れられた気がした。
カラー写真が載っていたが、もっと写真も見たいと思った。
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